辞めにくいのは
職種の構造
人手が足りない職場ほど強く引き止められます。これは個人の弱さではなく、業界の構造です。
「シフトが回らない」「利用者さんが」「年度の途中で」。言われる言葉は職種ごとに違っても、構造は同じです。
共通する3つの構造
辞めにくさの正体
①人員配置が法令や基準で決まっている。介護・保育・医療・運送は配置基準や有資格者の人数が決まっているため、1人抜けると業務が回らない。だから止められる。
②業務が属人化している。担当利用者・担当車両・担当現場。引き継ぎ先が見えないと、辞める話が進まない。
③年度・期の区切りが強い。「年度末まで」「繁忙期が終わるまで」と時期を提示される。
いずれも会社側の事情であって、労働者が退職できない理由にはなりません。人員配置は使用者が整える責任の範囲です。
ただし現実には、正論だけでは会話が終わりません。だから手順で進めます。
職種ごとの事情
看護・介護。配置基準と夜勤シフト。「利用者さんが困る」という情に訴える引き止めが典型です。有給消化を拒まれることも多い領域。
介護職の転職
保育。年度途中の退職が強く敬遠されます。「担任だから」と言われますが、担任は会社が決めた配置です。
運送・建設。担当車両・現場・免許。「代わりが来るまで」と期限のない引き延ばしが起きやすい。→ 運送業の実情
飲食・小売。シフトの穴。「後任が決まるまで」で数か月延びることがあります。
公務員。民間と手続きが異なり、各自治体・機関の規程(退職手続き)に沿う必要があります。一般に、民間向けの退職代行サービスでは対応できない場合があるため、事前の確認が必要です。
医師・薬剤師・教員など。期間の定めや契約の形により扱いが変わります。契約書の確認が先です。
押し切る手順
①雇用形態と契約期間を確認する。無期か有期かで、法的な扱いが変わります。→ 有期契約の場合
②退職日を先に決める。「いつ辞めたいか」を持たずに相談すると、相手の都合で決まります。就業規則の申出期限(1か月前など)を確認し、そこから逆算する。
③口頭ではなく書面で出す。退職届を出した記録が残ると、話が戻りません。提出日が分かる形で残す。
④有給の残日数を確認する。退職日と消化の関係を先に整理する。有給の取得に会社の許可は不要です(時季変更権は退職日以降には及びません)。
⑤引き継ぎは文書で。「引き継ぎが終わっていない」を理由にされないよう、手順書を残す。
自分から言い出せないときの選択肢を確認する
本人に代わって退職の意思を伝えるサービスがあります。対応範囲は運営元により異なります。相談は無料です。
- 相談は無料
- 料金・対応範囲は公式サイトの公表値です
- 法律事務は弁護士のみが行えます
資格職の強み
辞めにくい職種は、そのまま「次が見つかりやすい職種」でもあります。人手不足が引き止めの理由なら、他の職場でも同じ需要があるということです。
・資格は職場が変わっても残る。年数も評価される
・同職種内の移動なら、条件だけを比べられる。夜勤の有無、配置人数、給与
・施設形態を変えると、働き方が変わる。同じ資格でも負担が違います
自分で言えないとき
職種によっては、直属の上司に伝えた時点で強い慰留が始まり、会話が終わらないことがあります。心身に影響が出ている場合は、無理に対面で押し切る必要はありません。